長椅子と本棚2

ダイアリーから移行しました。

肉じゃが的「つるぺた」と、カツカレー的「つるぺた」

 前回の記事にいただいたコメントを眺めていて気づいたことだが、「つるぺた」というは現在、3つの意味で用いられている、と言えるように思う*1

 第一に、第二次性徴発言前の幼い少女の体型を指す、というもの。第二に、「貧乳」のことを指して「つるぺた」と呼ぶもの。第三に、「無毛=つる」プラス「貧乳=ぺた」のセットを「つるぺた」と見なすもの。これらのうち、特に第三のものと第一のものの違いは、一見するとわかりにくいかもしれない。以下、コメントを紹介しながら、これら三つの違いを考察したい*2

 Wikipediaをはじめとする多くの百科事典では、第一の、「二次性徴前の少女の体型」という意味が説明されている。はじめに確認したいことだが、前回の記事ではこの意味を「正しい意味」とみなした。そしてこれを根拠に、琴浦春香如月千早は「つるぺた」ではない、と述べてきた。

 はじめに、論点を明確にするために、「なぜこれが正しい用法で、他の用法が誤りだと決め付けるのか? 他の用法が正しいかもしれないのではないか?」という批判に対して申開き、というか言い訳をしておきたい。私自身は、どの用法が「正しい」かを決めて、他の用法を排除したい、というわけではない。ただ単に、少なくとも複数の意味で使わている、ということを指摘したかっただけである。「誤用」と書いたのは、「つるぺた」という言葉は多義的に用いられていて云々、と書いていくとPVが稼げないし冗長になるかと思い、正確性を犠牲にしてしまったためである。したがって今回、どれが正しく、どれが誤りか、という議論を展開するつもりはない。そうではなくて、どの程度の多義性が認められるか、というところに議論の焦点を定めたい。

 さて、私の「誤用」という判定に対して、多くの反論が寄せられた。その中で私が注目したいのは、琴浦春香如月千早の場合に、「正しい」意味から外れていないのではないか、というタイプの批判である。スターを多く獲得している(かつ、Twitter連携で引用しやすい)ものを二つ紹介しよう。

これらの批判の根拠は、「生えていないかもしれない」という点にあるように思われる。しかし、これを根拠に、前回の記事で「正しい意味」としていた、「二次性徴前」という意味から外れていると言うことはできないのではないかと思う。

 このように考えるのは、きょうの記事の初めに挙げた第一の意味、「二次性徴前」という意味と、第三の意味、「無毛=つる」プラス「貧乳=ぺた」のセットを「つるぺた」と見なす、という意味とを区別すべきだと考えるからである。ここに生じる意味のズレを考えるためのヒントは、ニコニコ大百科の「つるぺた」の項に付けられたスレッドにある。

11 : ななしのよっしん :2008/10/06(月) 18:05:45 ID: 76kA4J1wK6

(中略)

ちなみにつるぺたという語には、幼児の最たる魅力であるぽっこりしたお腹を表すニュアンスが含まれていないんだよね
だからこの語は幼児の本質を形容するに至らない
いい言葉であるがゆえに残念でならない
ニコニコ大百科: 「つるぺた」について語るスレ 1番目から30個の書き込み - ニコニコ大百科

そう、問題は、お腹である。あるいは、胸と局部以外の体型が問題である。この書き込みは、「つるぺた」は基本的に胸と陰毛のことを指す、という認識から、この概念への不満が述べられている。しかし、Wikipediaでは、「つるぺたとは、乳房が発達せず、平たい状態(幼児体型)で、陰毛もない成人前の女性、特に思春期前の幼女の体型を指すスラング」となっている。ここで、「特に思春期前の幼女の体型を指す」というところをどのくらい重くとるかが問題となるだろう*3。これを厳密に適用すれば、たとえばウエストがくびれている場合には、「つるぺた」と呼ぶことは不可能になるように思われる。

 この区別を念頭において第一の意味で考えれば、やはり千早はつるぺたではない。見よ、このトビウオのようなくびれを*4

 もう少し敷衍してみよう。第一の意味の「つるぺた」の概念は「肉じゃが」という概念に似ている。肉じゃがは、肉とじゃがいもだけあればいいわけではない。玉ねぎが入っているだとか、味付けの傾向だとか、そういうものを含み混んだ概念である。カレーにも肉とじゃがいもが入っているが、カレーを肉じゃがとは呼ばない。この意味で第一の「つるぺた」は、肉じゃが的つるぺた、と呼ぶことができる。一方、第三の意味の「つるぺた」の概念は、「カツカレー」という概念に似ている。カツカレーはカレー+カツがあればよいのであって、例えばカレーがビーフカレーでもポークカレーでもチキンカレーでも関係がない。この意味で第三の「つるぺた」は、カツカレー的つるぺた、と言うことができる。

 第一の「つるぺた」と第三の「つるぺた」の違いについてはこのくらいでよいだろう。ここで、もう一つ別の主張の可能性を検討してみたい。それは、「つるぺた」を第三の意味で理解するならば、そもそも誤用など存在しないことになるのではないか、というものである。

 確かに、第三の意味で理解するならば、千早や琴浦さんつるぺたでない可能性が生じる。しかし、そうだとしても、例えば前回引用したYahoo!知恵袋の例のような、三次元にまでこの概念が用いられる場面を、この意味の「つるぺた」で説明することはできない。あるいは、さすがにリンクは避けるが、Googleでは三次元のアダルトサイトでの「つるぺた」の用例も引っかかる(なお、さすがに児童ポルノではない)。

 以上、コメントを受けて、「つるぺた」の意味が三つに分かれるのではないかということを考察してきた。自分がこれらの意味のうちどれを用いているか、考えてみるのもおもしろいかもしれない*5

*1:以下で、幼女の体型とか貧乳とか無毛とかについてしつこく説明しているが、どれも私自身の主観ではない。千早の胸があと20センチ大きくても、私は千早にハマっていた自信がある。

*2:この「意味の違い」以外にも、歴史的事実に関して有益な反論を頂いたが、これについてはうまくまとめられなかったので、また後日やる気が出たら記事を追加する、ということでご容赦いただければと思う。ていうか、もっとちゃんと知ってる人、これ叩いてる暇があったらまとめてください。

*3:もちろんこれも一次情報でもなんでもなく、Wikipediaのこの項目の著者の見解にすぎないのだが。

*4:22:21、taitokuさんのコメントを受けて、動画を入れるためにこの一段落を追加しました。

*5:たぶんあんまりおもしろくない。