読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

長椅子と本棚2

ダイアリーから移行しました。

パズドラは「15パズル」の末裔

 先月末にパズドラ始めてみまして、既に飽きつつあるのですが、思ったことがあったので書いてみます。パズドラのパズル部分を「マッチ3」として分類するのは、間違いとは言えないけれど本質を捉えていないのではないか、ということについて。

マッチ3としてのパズドラ

 Wikipediaでは、パスドラのパズル部分は「マッチ3」として分類されています。

プレイヤーは6×5マスのマッチ3ゲーム方式のパズル画面を操作。ドロップ[2]と呼ばれる6種類のパズルブロックを3つ以上縦横に繋げて消すことによって敵モンスターを攻撃することができる。
パズル&ドラゴンズ - Wikipedia

 「マッチ3」とは、同種のブロックを三つ集めて消すゲームで、日本では「パネルでポン!」や「ZOO KEEPER」などが有名です(参考:マッチ3ゲーム - Wikipedia)。

 「三つつなげて消す」がマッチ3の定義だとすると、たしかにパズドラも、マッチ3ゲームと言えます。しかしながら、パネポンやズーキーパーのゲーム性と、パズドラのパズル部分のゲーム性を比べると、それらは「3つつなげて消す」という点を除けば大きく異なっているように思います。一度プレイすれば気づく違いとして、以下の2点を挙げることができるでしょう。

  1. 先行するマッチ3ゲームは隣り合うブロックを交換する動きのみが許容されるが、パズドラの動かし方はそれと大きく異なる
  2. 先行するマッチ3ゲームはブロックを動かすまでの時間に制限があるが、パズドラにはそれがない

この2点の違いにより、パズドラをプレイするときの感覚は、他のマッチ3ゲームのプレイのときとは全く別物になっています。

15パズルの末裔としてのパズドラ

 しかしながら私は、パズドラをプレイしながら、「こういうゲーム、どこかでやったことあるはず…!」という感覚を拭えずにいました。この私の感覚は、マッチ3とはまったく別のところからきていました。

 パズドラのゲーム性は、マッチ3ゲームよりむしろ、15パズルのようなスライディングブロックパズルに近いのです。スライディングブロックパズルとは、以下の様なものです。

スライディングブロックパズルとは、ケースの中に収められたコマを空所を利用して動かし、目的の配置にするパズルの総称である。コマを滑らすように動かす(スライドさせる)事からこの名称がつけられている。
スライディングブロックパズル - Wikipedia

「所定の位置」を1から15の数字で示したのが15パズル。また数字以外に、ブロックに絵を書いて絵合わせパズルにしているものもあります(子供の頃、ディズニーの絵柄のもので遊んだ記憶があります)。例えば以下のような。

アーテック スライドパズル15 7608

アーテック スライドパズル15 7608

 言葉と写真だけじゃわからん! という方のために、Flashでプレイできるサイトも貼っておきますね。

 さて、この15パズルですが、空所にブロックをスライドさせることでブロック全体の位置関係を変えていく、というのが、基本の遊び方となっています。ここで指摘したいのは、この基本の動きが、パズドラの基本操作と酷似しているということです。

 パズドラでは、ドロップを動かすと、隣のドロップと位置が入れ替わります。続けて動かすと、更に隣のドロップと位置が入れ替わります。この入れ替わりを利用してドロップを揃えていくのが、最も基本的な戦略になります。(参照:【パズル&ドラゴンズ攻略】目指せ平均4コンボ。ドロップ消し完全マスター講座。(計算表付き) - たのしいiPhone! AppBank

 ここで、15パズルの場合を考えてみましょう。15パズルでは、「空所にブロックを動かす」というのが基本動作でした。しかしここで発想を転換して、「空所の位置を動かしている」と考えてみましょう。すると、パズドラと全く同じ動きが生じていることがわかります(ただし、パズドラに斜め移動があるということを除けば)。たとえば、「空所の上のブロックを空所に向けて動かす」という動きは、「空所を上に動かし、上にあったブロックが入れ替わりに空所があった位置にくる」という動きと全く同じです。

 ところで、この「空所が動く」という考え方は、半導体において電荷を担う「ホール(正孔)」という考えに似ています。

正孔(せいこう)は、ホール(Electron hole または単にhole)ともいい、物性物理学の用語。半導体(または絶縁体)において、(本来は電子で満たされているべき)価電子帯の電子が不足した状態を表す。たとえば光や熱などで価電子が伝導帯側に遷移することによって、価電子帯の電子が不足した状態ができる。この電子の不足によってできた孔(相対的に正の電荷を持っているように見える)が正孔(ホール)である。
半導体結晶中においては、周囲の価電子が次々と正孔に落ち込み別の場所に新たな正孔が生じる、という過程を順次繰り返すことで結晶内を動き回ることができ、あたかも「正の電荷をもった電子」のように振舞うとともに電気伝導性に寄与する。
正孔 - Wikipedia

 ホールは電子が抜けた穴にすぎないのに、動きまわって電荷を伝えます。これと同様に、15パズルでは、ブロックの抜けた空所が動きまわって、全体のブロックの配置を変化させるのです。

 これが分かった上で、パズドラに戻ってみましょう。パズドラのプレイヤーは、まずどこを空所と見なすか=どのドロップを動かすかを指定します。次に、空所の動き方=周りのドロップの動かし方を決めます。ただし、一回一回の動きがゆっくりでよい15パズルと異なり、パズドラではこれを一気に(4秒以内の一連の動きとして)やらなければなりません。

 というわけで、パズドラのパズル部分のゲーム性に関しては、マッチ3の系譜から一旦外して、15パズルの系譜に置くことで見えてくるものが多くあるのではないかと思います。