長椅子と本棚2

ダイアリーから移行しました。

体験と発想力を使い果たしたところからブロガーの戦いは始まる

 ブログを始めるのは、書きたいことがあるからだ。だから、始めた頃は、いくらでも書くことがある。しかし、数ヶ月も書いていると、息切れしてくる。してきた*1。でも、書くことの楽しみは忘れられない。

 そこで思い出したのが、村上龍が『海の向こうで戦争が始まる』という二作目の小説につけていた「あとがき」だ。

 この作品を描き上げた夜、あるバーでリチャード・ブローティガンに会った。「二つ目の本になる小説を書いたよ」そう言うと、ブローティガンは「ふうん」と横を向いた。この野郎、おめでとうくらい言ったらどうだ、と思ったが、彼はその時起源が悪かったらしい。もう一度僕に向き直るなり、「大事なのは、三作目だ」と短く言った。
「処女作なんて体験で書けるだろ? 二作目は、一作目で習得した技術と想像力で書ける。体験と想像力を使い果たしたところから作家の戦いは始まるんだから」
 脱稿の酔いが、あっという間に醒めてしまった。そのバーからの帰り、昔の友達のことを思い出した。「俺が生きてる時は注射針が腕に刺さっている時だけだ。残りは全く死んでいる。残りは注射器の中に入れる白い粉を得るために使うんだ」歩きながら、小説は麻薬とそっくりだと思った。 

 「俺が生きている時は、ブログを書いているときだけだ。残りは、ブログに書くネタを得るために使うんだ」。なんとなくニヤリとしてしまうひともいるのではないか。「サイトを更新しているとき」「ブコメを書いているとき」「ツイートしてるとき」と置き換えてもよい。

 生きることは、哀しくも楽しい。

海の向こうで戦争が始まる

海の向こうで戦争が始まる

*1:私の場合、6月の更新が減ったのはGARNET CROWが解散してしまったせいもあるが。