長椅子と本棚2

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Tumblrにおける「拡散」とTwitterにおける「拡散」の違い

 前の記事(「拡散希望」はいつ頃から使われているのか? - 長椅子と本棚)で、「拡散する」は本来自動詞なのにTwitterなどでは他動詞として使われている、という話を書きましたが。この「拡散する」という言葉に着目すると、TumblrにおけるリブログとTwitterにおけるリツイートの微妙な違いがあぶり出せるように思ったのでメモ。

 まずは、次の四つの例文を見てみてください。

  1. Tumblrのリブログで、情報が拡散する。
  2. Tumblrのリブログで、情報を拡散する。
  3. Twitterのリツイートで、情報を拡散する。
  4. Twitterのリツイートで、情報が拡散する。

私の語感では、2より1が、4より3が自然であるように思います。というか、2はなんとなく効率悪そうなイメージ。また、3ではリツイートするのは自分でしょうが、4では誰かがリツイートしているのを眺めている、という語感になるように思います。実際、「Tumblr+拡散」で検索する上位の記事では、「拡散する」は基本的に自動詞の意味で使われています。(たとえば、25歳のCEOが最上位の、Tumblrを作った理由 - 3分間ビジネスモデルなど。)

 この違いは、Twitterではリツイートして情報を拡散する主体としてのユーザーが中心的な役割を持っているのに対し、Tumblrではリブログされて拡散してゆく情報そのものが核となっている、というところにあるように思います。Twitterではユーザーが情報を発したり広めたりするけれど、Tumblrでは情報が勝手に広がっていってしまう、というイメージ。この違いがあるからこそ、同じような「拡散」機能であるリブログとリツイートが、前者は情報がひとりでに広がっていくのを手助けする行為として、後者はなかなか広がらない情報を故意に広める行為として、感じられているのではないかと思います。