「論文に死んでも書いてはいけない言葉30」の出典とされる『読書猿』の記事がそれ自体パクリである件
お正月、「論文に死んでも書いてはいけない言葉30」というのがTwitterの卒論執筆勢の間で出回っていた。「すごく→非常に」から始まって「合格させてください→解明できた点は必ずしも多くはないが、若干なりとも寄与できたと思われる。」で終わるという、それ自体はユーモアと実用性を兼ね備えた読み応えのあるものだ。
ところで、これに関しては、ブログ『読書猿』からのパクリなのではないか、という指摘がなされている。
このまとめでは、
以上の二つが、以下からの転載であることが指摘されている。
今日指摘したいのは、このことではない。今日話題にしたいのは、上のまとめで「出典」とされている読書猿さんのエントリ、実はこれ自体が、その役半分が本からの不適切な引用である、ということである。その本とは、上の読書猿さんの記事でも紹介されている、以下の本だ。

- 作者: 山内志朗
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2001/09
- メディア: 新書
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引用されたと思われるのは、『ぎりぎり合格のための論文マニュアル』pp. 187-8にある以下の記述だ。
以下、説明抜きで様々な言い換えを記しておく。
私は分からない → 解明できた研究者は少ない
〜はバカだ → 〜の見解には再考の余地が残る
〜は嫌いだ → 〜が一般的に受容される可能性は少ない
〜は読みたくない → 〜を正当に評価することは困難である
〜を読まなかった → 〜の評価はまだ定まってはいない
もうダメだ → 議論が錯綜してきたので、原点に戻ってみることにする
考えがまとまらない → 多少、迂路を辿ることになるが
イヤになってきた → ここで筆を置くことにする
引用だらけになった → 様々な見解を年代順に整理してみる
合格させてください → 解明できた点は必ずしも多くはないが、若干なりとも寄与できたと思われる
これと、件の表の後半部分を見比べてみてほしい(画像はスクリーンショット)。
多くの項目が明らかに重なっていることがわかるだろう。読書猿さんが当の書籍を紹介していることも、この一致が偶然ではないことを裏付けているように思う。
別に読書猿さんを叩いてどうこうしたいわけではないのだが、気づいてしまった以上、気持ち悪いので吐き出してみた。ちなみに引用元の新書は読み物としても楽しい卒論マニュアルなので、特にこれから文系の大学で卒論を書く予定のある人にはおすすめです。